2025.08.27

THE [ ] STORE出店を通じて日本市場の可能性を再認識。前年同月比1.5倍の売上拡大に成功した「源ベッド」のOMO戦略とは

THE [ ] STORE出店を通じて日本市場の可能性を再認識。前年同月比1.5倍の売上拡大に成功した「源ベッド」のOMO戦略とは
THE [ ] STORE出店を通じて日本市場の可能性を再認識。前年同月比1.5倍の売上拡大に成功した「源ベッド」のOMO戦略とは

株式会社チヨダコーポレーション

事業内容
ベッド・マットレスの製造及び販売
URL
https://www.minamotobed.jp/

THE [ ] STORE

sentiment_dissatisfied背景
  • 寝具販売のオフライン販売での検証
  • マットレスの寝心地体験の機会の提供
  • ブランドの認知拡大と新たな顧客接点の創出
sentiment_very_satisfied効果
  • モールを含めた全体売上が前年同月比1.5倍にまで伸長
  • ECサイトのPV数、UU数、CVR、顧客単価など全指標が向上
  • ブランドの知名度向上に成功
  • お客様の声から商品の訴求内容や新商品開発へのヒントを獲得

広島の老舗寝具ブランド「源ベッド」を展開する株式会社チヨダコーポレーションは、2025年2月14日(金)~2月20日(木)の期間に続いて、同年6月5日(木)〜6月11日(水)の期間でRAYARD MIYASHITA PARKの「THE [ ] STORE(ザ・ストア)」にて出店しました。オンライン販売では難しい寝心地体験の提供とブランドの認知拡大、オフライン販売の検証を目的に出店。同社代表の山中雅俊氏に、THE [ ] STORE出店における取り組みと成果についてお話を伺いました。

取材の様子
代表取締役 山中 雅俊氏

“挑戦と行動で眠りを変え、世界を変える” 創業60年の老舗メーカー発の寝具ブランド「源ベッド」とは

ー御社の事業概要について教えてください。

山中 雅俊氏(以下、敬称略):株式会社チヨダコーポレーションは、広島の北部を拠点にベッド・マットレスを製造販売する老舗寝具メーカーです。1965年に創業し、今年で60年になります。「挑戦と行動で眠りを変え、世界を変える」をミッションに掲げ、社員全員がこの実現に向けて本気で取り組んでいます。なかでも「源ベッド(みなもとべっど)」は、2004年に立ち上げた寝具ブランドです。代表である私自身が、元々世界で挑戦することや世界を舞台に活動することに惹かれていたこともあり、ブランド立ち上げ時から海外展開を想定していました。ブランド名は、日本人であることに誇りを持ちたいと考えたことから、あえて漢字表記の「源ベッド」と名付けました。

 

ー製品の特徴やこだわりを教えてください。

山中:源ベッドは、眠りを作り出すもの全てにおいて、素材選定から製造機械に至るまで厳選したものを使用しています。製造機械は全て我々が納得したもののみで非常に精巧な作りとなっており、高い生産能力と精巧さを両立したものを採用しています。また、1ヶ月に1回は世界各国(アジア、アメリカ、ヨーロッパなど)を視察し、足を使って情報収集するようにしています。世界各国からあらゆる手段で情報を収集し、私たちの強みとなる部分を選定した結果、たどり着いた答えが「ポケットコイル」です。

ポケットコイル

ポケットコイルは、床に敷布団を敷いて寝ることに慣れた日本人の好みに合う、硬めの寝心地を作りやすいのが特徴です。また、体圧分散性にも優れているため、ウレタンマットに比べて通気性が良いという利点もあります。源ベッドでは、一人ひとりの身体や好みに合った寝心地を提供したいという想いから、一つのマットレスモデルに対してフィット・ジャスト・キープの3種類の寝心地のマットレスを展開しています。単にハード・レギュラー・ソフトといった表現ではなく、言葉の持つ印象や五感を重視してこのような名称にしています。この言葉や表現に対するこだわりは、オンラインでの販売からスタートしたブランドだからこそ考えついたのだと思っています。

ブランド初のオフライン店舗出店。出店時の売上が前年同月比1.5倍に拡大

ーTHE [ ] STOREへの初出店を決めた際の背景や経緯について教えてください。

山中:これまでは自社ECや大手モールなどオンラインでのみの販売でした。なかでもモールは価格競争の影響が大きく、収益性が低下するという課題を抱えていたため、次の投資判断がしにくい状況でした。お客様からすると、モールの中で販売されている数あるマットレスの一つという認識で、源ベッドのブランドとしての認知が確立できていなかったんですね。一方で、自社ECでも課題はありました。ブランドとしてどのように情報を発信すれば良いのかがわからない状況で、手探りでブランディングや集客に取り組んでいました。そんな中、お客様から「店舗で商品が展示されている場所はないのか」「寝心地を体験できる場所はないのか」という声が寄せられることがありました。そうした声を受け、お客様が寝心地の体験ができないということが、オンライン販売の最大の課題なのだと気づきました。

しかし、源ベッドは自社で製造・販売しているという背景もあり、大型家具店のような価格帯で店頭で販売することは難しいというジレンマがありました。このような状況に悩んでいた際、同業者の方の紹介でTHE [ ] STOREを知りました。かねてから、他社家具ブランドの事例でポップアップストアが成功しているという話を聞いており、いつかはチャレンジしたいと考えていました。お客様にマットレスの寝心地を体験していただくことに加え、寝具の販売においてオフラインでの販売が成立するのかという可能性を検証する目的で、まずは学びの機会だと捉え、THE [ ] STOREへの初回出店を決めました。

 

ーTHE [ ] STOREへの初出店時、どのような施策を行ったのでしょうか。

山中:出店の1番の目的だったマットレスの寝心地体験会と、睡眠のプロによる睡眠診断をメインで実施しました。その他、入店のハードルを下げるため、オリジナルハーブティーの提供やSNSを活用したプレゼント施策も併せて行いました。睡眠診断を通してお客様に最適な寝心地を提案するというコンセプトが響き、THE [ ] STORE初出店は非常に成功したと思っています。

THE [ ] STORE出店の様子

出店にあたり、店舗の狭さに対しては正直不安がありました。最低でも8〜9種類のマットレスを展示したいと考えていましたが、THE [ ] STOREの限られたスペースでは全てを展示することはできませんでした。そのため、お客様に寝心地をご体験いただくにあたっては、都度商品を入れ替えて対応する必要がありました。この点については、THE [ ] STOREのスタッフのサポートのおかげで、限られた売り場面積でも多くのお客様に満足のいくマットレスの寝心地体験を提供できたと感じています。

 

ー初のTHE [ ] STORE出店の手応えはいかがでしたか。

山中:THE [ ] STOREへの出店は、私たちの事業においてオフライン販売が成立するのかどうかの可能性を検証する目的でもありましたが、結果的に大きな成果を上げることができました。THE [ ] STOREでの売上だけでなく、モールを含む全体売上が前年同月比1.5倍にまで伸長したんです。最初の出店時期が2月だったので、新生活の準備期間であったことも売上に勢いがあった一因だとは考えていますね。その他、売上だけでなく、お客様と直接お話しできたからこその発見もいくつかありました。これまでは自社ECの顧客データを見ることしかできなかったので、メインのお客様は30〜40代の女性やファミリー層だと認識していましたが、実際にTHE [ ] STOREにお越しいただく方は我々の想定よりも少し上の世代の方も多かったため、幅広い世代の方が源ベッドを知ってくださっているのだと実感しました。

また、お客様の生の声が聞けたことも非常に嬉しかったですね。最も印象的だったのは、多くのお客様がマットレスを「自分の好みの硬さ」という曖昧な基準で購入しようとしていることでした。そのような方には、理想的な寝心地をもとに選ぶことが重要だということを説明し、実際に姿勢を確認しながらアドバイスをし、納得いただけたという手応えを感じました。居住スペースの都合でマットレスの上に布団を敷いているなどという方もなかにはいらっしゃり、寝具の適切な使用方法を伝えていく必要があるなと感じました。このように、自社ECやモールの販売だけでは知ることができなかった情報を得られたことも、出店の成果の一つだと考えています。

THE [ ] STORE出店の様子

初出店の成果を受けてすぐに二回目の出店を決定。THE [ ] STORE出店を通じて得たものは

ーTHE [ ] STOREへの二回目の出店を決めた背景を教えてください。

山中:初出店の成果が非常に良かったこともあり、すぐに二回目の出店を決定しました。二回目は同年6月で、寝心地体験や睡眠診断のほかにも、新たな施策としてひのきベッドの体験会を実施しました。また、店頭でインスタライブを実施したところ、出店中にインスタライブを見たというお客様が来店されるケースもありました。寝心地体験など前回好評だった施策は大幅には変えず、初出店時に生じた課題を解消すべく運営周りの改善に注力しました。

 

ー二回目の出店時に改善したことを教えてください。

山中:初出店時の課題は大きく二つあります。一つ目の課題は、店舗にない商品やサービスの購入手段を用意できていなかったことです。例えば引き取りサービスなど、お客様が店舗にない商品やサービスをご希望された場合、クーポンが適用できなかったり、別で購入しないといけなかったりと、お手間をおかけする状況になっていました。これは商品登録の問題だったので、二回目の出店ですぐに解消しました。

二つ目の課題は、寝心地体験のお客様の待ち時間が長くなってしまったことです。初出店時は常時開催・予約不要でご案内していたため、長い時は最大で3〜4時間ほどの待ち時間が生じる状況になっていました。お客様にご負担をおかけしてしまっていたことを受け、二回目は寝心地体験と睡眠診断のいずれも予約優先でのご案内に切り替えました。しかし、これがまた新たな課題につながってしまったんですね。ハードルを下げるため、予約時に電話番号を入力必須にしなかったことで予約の数自体は非常に多かったのですが、来店前に予約確認の連絡を行うことができず、その結果当日の無断キャンセルが多く発生してしまいました。これは二回目の出店の反省点です。

取材の様子

ー初出店と比べて、二回目の出店の成果はいかがでしたか。

山中:初出店時は新生活需要もあり、即時購入を希望される方が多かったのに対し、二回目の出店は特にこれといったシーズンにかかる時期ではなかったため、検討したいという方が多かったと感じています。その結果、売上自体は前回を上回ることができませんでしたが、全体で見ると自社ECのPV数、UU数 、CVR、顧客単価といった全ての指標が向上しました。この結果から、THE [ ] STOREへの出店がオンライン販売にも影響を与え、確実に貢献していると感じましたし、今後は新生活需要が高まる時期のオフライン出店は必須、それ以外の時期の戦略を検討していく必要があると気づきました。

なにより、この二度の出店で、私自身の日本のマーケットに対する認識が変化したことは、今後を考えていく上でも大きかったですね。正直な話、THE [ ] STOREに出店する前は、日本市場の将来性に疑問を持っているところもありました。しかし、THE [ ] STOREへの出店を通じて、まだまだ日本に大きな市場が存在するのだということに驚き、そこへの投資意欲を高めるきっかけになりました。また、睡眠について悩んでいる方が非常に多いにも関わらず、寝具の選び方が不適切なケースも一定数見受けられるという気づきは、この分野にまだまだ大きなビジネスチャンスが眠っているという確信に変わりました。近年、日本人の睡眠に対する関心やリテラシーが急激に向上していることもあり、日本市場には大きな可能性があると強く感じています。

お客様の生の声は必ず自社の成功に繋がる。

ーTHE [ ] STORE出店で見えてきた新たな課題はありますか。

山中:THE [ ] STORE出店では、対面でお客様に寝心地を伝えたり体験いただいたりすることができましたが、オンラインではまだ実現できていないのが実情です。そこで、寝心地を数値化して自社ECに反映していけるよう、計画を進めています。例えば、複数のお客様に試験的に寝心地を体験していただき、体圧分散機などでデータを集め、体型や年齢などの情報をもとにおすすめ商品を分析していくことで、お客様が自分と近いデータを見て商品を選びやすくなるよう工夫していきたいと考えています。

また、現在三回目のTHE [ ] STORE出店も検討しています。これまでの出店で経験したことや課題を踏まえ、次回出店する際には予約システムを改善することが必須だと考えています。まずはお客様に店舗へご来店いただけないことにははじまらないので、THE [ ] STORE担当者から意見をいただきながら、顧客体験を改善していけるように検討したいと考えています。また当社はオンライン販売が前提ということもあって接客経験が少ないため、THE [ ] STOREスタッフの皆さんの接客力を活かして回転率を上げ、専門的な説明は当社メンバーから行うなど、役割を明確にして対応していきたいと考えています。製品に関しても様々なご要望が寄せられているため、あらゆる好みの寝心地に対応できるよう、製造機械の見直しや提案方法の改善を検討していきたいですね。

取材の様子

ー今後の展望について教えてください。

山中:THE [ ] STORE出店時に、お客様からいただいたご意見・ご質問をきっかけにニーズを把握することができました。実は、今それを基に新商品の開発に積極的に取り組んでいるんです。例えばですが、マットレスのトッパー部分を交換することで、寝心地を変えられるような製品を検討しています。寝具は短いスパンで頻繁に買い換えるようなものではないので、このような製品でお客様が寝心地を調整したり、簡単に変えられたりするといいなと考えています。

また、枕の開発も検討しています。THE [ ] STORE出店を通じて、マットレス選びと同様に、枕選びにも非常に多くの方が悩まれていることを知りました。お客様からは、なんとなく枕を選んで試行錯誤しながら使用しているというお話も伺っています。首の角度や寝返り、日本特有の湿気に耐えうる通気性などを考慮した枕選びも重要であると考えているので、マットレスと枕の両方を寝具の土台として併せて提案し、さらに顧客満足度を向上させていきたいと考えています。

 

ー最後に、THE [ ] STORE出店を検討している方にメッセージをお願いします。

山中:出店を検討している事業者の方には、一度実際にやってみることが最も重要である、と強くお伝えしたいです。出店したら、必ずお客様からの声や商品に関するフィードバックをいただけるはずです。その生の声は、必ず自社を成長させるものになると考えています。オフライン販売と商材やコストが見合うかという懸念があることも理解できますが、一度出店してみて、成立するか否かを検証する価値はあると思います。もし成立しなかったのであれば、成立するように改善を重ねていく努力が必要ではないかなと、個人的には考えますね。悩む前にまずはやる、これが一番大切なことだと思います。

これからの時代、オンラインとオフラインをうまく活用していかなければならないと思っています。THE [ ] STOREはまさに、そこが最大の強みですね。現状を打破し、すぐに行動することで、自ずと良い結果につながると信じています。

 

ー本日はありがとうございました。

 

※掲載内容は取材当時のものです。


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